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RECRUITING 2019
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  •  Quick Barber(10分カット)とInternetを組み合わせた新しいビジネスモデルの創出を目指し、1996年に日本初の「ヘアカット専門店」として創業したキュービーネット。 理美容業界の既成概念にとらわれず、“すべてをやるのではなく、大切なことだけに集中する”という斬新なビジネスモデルで、創業から右肩上がりの成長を続けてきた。そして、創業から22年を経た2018年3月23日に、東証1部へ株式上場(IPO)を果たす。  AGSコンサルティングの廣渡嘉秀が、同社のIPOを支えてきた名パートナーたちを交えて、キュービーネットの北野泰男代表取締役にインタビューした。
急成長の混乱期を救った オリックスの投資手腕
  • 1996年に創業した「ヘアカット専門店」のQBハウスは、10分1000円という革新的な理髪モデルが多くの利用者から支持された。2002年には国内で100店舗を達成し、2005年には291店舗と急速な成長を遂げた。そんな成長のまっただ中にあって、2006年に創業者が保有株式をオリックスに売却。創業からIPOを目指していたキュービーネットは、なぜオリックスを新たな資本先として頼ったのだろうか。
廣渡 QBハウスの店舗数や来客者数を見ると、2001年の91店舗2337千人という数字から、わずか8年で291店舗8034千人という急激な成長を遂げていますね。そんな成長の絶頂期に、なぜ創業者は保有していた株式をオリックスに買い取ってもらったのでしょうか。
松﨑 松﨑 QBハウスの10分1000円カットは、2005年に日本語版も刊行された「ブルー・オーシャン戦略」という書籍で、日本発の“競合相手のいない領域”を狙ったビジネスモデルとして取り上げら れていました。当時NTTドコモのiモードと並ぶ革新的なビジネスモデルとして、世界からも注目されていました。私もこの書籍を通して、ブルー・オーシャンという事業領域を知ると同時に、キュービーネットという会社にも注目していたのです。そのような折に、ご縁があって創業者から保有している株式を購入してもらえないか、という相談を受けました。
廣渡 株式の売却ということは、当時は資金繰りなどの面で苦労されていたのでしょうか。
松﨑 創業時からキュービーネットはIPOを目指していたのですが、急成長を続ける中で創業者だけで経営や資金繰りなどを担うことに限界を感じられていたのだと思います。我々にお話があった当時は、すでに金融機関から来られた方が代表を務めていました。北野さんは、その代表の右腕として本部の管理業務を一手に担われていましたね。
北野 キャッシュフローの面では、国内で年間70店舗を超える新規出店に加え、アジアへの海外展開を積極的に進めていたこともあり、資金はいくらあっても足りないという状況でした。店舗数は増えていたのですが、収益性はまだまだ厳しい状況の中にあって、将来的な発展の可能性にも投資を絶やしたくはなかった、という創業者の強い思いがあったのだと思います。
廣渡 将来の成長への投資と、IPOを見据えて体制を強化したい、というお考えからオリックスに委ねる決心をされたのでしょうか。
北野 創業者は、「このビジネスに終わりがない、そして国境がない」ということを常に口にされていたので、せっかくつかんだよい流れを絶やしたくはなかったということが、決断された大きな理由だったのではないでしょうか。IPOすべきか、それともオーナー会社を貫くべきか、悩まれていた時期もありました。当時はほぼ毎日会社で夜を明かすという日々を送っていたのですが、夜が明け始めた頃に創業者から私の携帯に連絡がきて、「決めた、オリックスと会う」とおっしゃったのは、今でもはっきりと声のトーンまで覚えています。
松﨑 我々としては事業投資と位置付けていましたから、キュービーネットの魅力的なビジネスモデルを最大限に生かし、バリューアップしていくために、当社のスタッフを常駐させるようになったのですが、やらなければならない課題が山のようにありましたね。
廣渡 どのような課題に直面したのでしょうか。
松﨑 やはり急成長したオーナー企業によく見られる内部管理体制の問題でした。300を越えようとしていた店舗数に対して、本部を運営するスタッフが不足していました。加えて、資産や資金の管理も含めた業務フローやコンプライアンスなど、大幅な経営改善が求められていたのです。
廣渡 そうだったのですね。その当時から、私どもがお手伝いできればよかったのですが。(笑)
松﨑 そうですね。(笑) 当時は目の前に迫った数々の課題をどうやってクリアしていくかということで、本部に常駐したスタッフは、日夜苦労していたと思います。あの頃は、昼夜を問わず私の携帯に、北野さんからひっきりなしに相談の電話がかかってきていました。
廣渡 そんなに大変な状況をどのように乗り越えてこられたのでしょうか。
松﨑 最大の決断と成果は、北野さんに社長になってもらうことでした。二代目の社長は、オーナー経営の社風を色濃く引きずっていたので、我々のような外部の者から見ると、現場のモチベーションを高められないと考えたのです。そこで、私が直接当時の役員や幹部も含めた本部のスタッフと面談をして、誰が社長に適任かをヒアリングしました。その結果、全員が希望していた北野さんに白羽の矢を立てたのです。
廣渡 実際のところ、当時はどのような変革が求められていたのでしょうか。
北野 その頃は、松屋銀座の裏という一等地に本部事務所があり、積み上げられた問題や課題をどの様に解決してくか、みんなで遅くまで意見を戦わせていました。よく会議の延長でそのまま飲みに行っては議論を続け、最後は「やるしかない!」と居酒屋の店前で円陣を組んでいたこともたびたびでした。
松﨑 その飲み会で盛り上がると、深夜に私の携帯が鳴るのです。「どこに居ますか。これから来てくれますか」と、何度も呼び出されました。 残念ながら立場上、一度も応じられませんでしたが。(笑) しかし、そうした苦労を乗り越えて、北野さんが社長になってからは会社の風通しもよくなり、現場のモチベーションも上がり、それが業績にも反映されるようになりました。
IPOに向けたプロフェッショナル チームへとバトンが渡される
  • キュービーネットの経営を軌道に乗せたオリックスは、2010年に株式をジャフコに売却する。急成長期の混乱を救ったオリックスから、ジャフコを経て2014年に佐山展生氏らが率いる投資ファンドのインテグラルが、キュービーネットの株式を取得する。
北野 AGSとの出会いは2013年でしたね。
廣渡 はい、当時主幹事だった証券会社にご紹介いただいたのがご縁でした。Ⅰの部(※1)やマザーズへの各種説明資料(※2)の作成支援、SOX支援などを担当させていただいたと記憶しています。 ※1「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」 ※2 東証マザーズ「新規上場申請者に係る各種説明資料」
北野 2014年の9月まで、相当タイトなスケジュールだったにも関わらず対応していただき、本当にありがとうございました。 IPOのための業務をAGSにお願いしたことで、自社のリソースを他の業務に集中させることができ、結果として成長を加速することができたと感じています。海外拠点も広がっていたので、ものすごく助けられました。やはりQBは難局のときに不思議と出会いに恵まれるんですよ。
廣渡 とんでもありません。キュービーネットの管理部には優秀な方が多かったですし、監査法人のご担当者も熱心な方だったのが大きかった。私たちも大変感謝しています。
北野 現場メンバーも、「監査法人とAGSには大変助けられたので、慰労会を開催したい」と言っていたのを覚えています。  ジャフコからインテグラルに株主変更となった2014年にIPOは一旦仕切り直すことにしたのですが、AGSには2016年の再開とともに改めてお声がけしました。
廣渡 おっしゃるとおりです。Ⅱの部(※3)の作成支援ののち、今は税務顧問としてお手伝いさせていただいています。 ※3 「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅱの部)」
北野 AGSも積極的にグローバル展開をされるとお聞きしましたので、これから益々期待しています。引き続きよろしくお願いします。
廣渡 ありがとうございます! オリックスが保有していた株式をジャフコに売却されて3年ほどを経て、インテグラルの佐山さんにバトンが預けられたのですね。佐山さんが、キュービーネットを引き受けた決め手はどこにあったのでしょうか。
佐山 当時のインテグラルにとって、EBITDA倍率が通常よりもかなり高く、ファンド投資額とLBOローン額の合計が200億円を超える投資案件は、本件に出せるギリギリの数字でした。それでも取り組もうと決めた最大の理由は、ビジネスの手堅さと北野社長をはじめとする経営陣のやる気、レベルの高さでした。
廣渡 佐山さんたちはこれまでに、不動産仲介大手のアパマンショップホールディングスや、衣料品製造・販売のヨウジヤマモトに投資した実績もあり、現在も航空会社スカイマークの再生に取り組まれています。これだけの大型案件を手がけられてきた背景には、もっと投資案件に対する厳格な規定や経験に基づいた判断の基準があるのではないかと思っていたのですが。
佐山 もちろん、そうした判断もしますが、キュービーネットに関しては、北野社長の人柄、能力に惹かれたことが大きかったですね。
北野 実は、私のほうから佐山さんに一度是非お会いしてみたいと思っていました。松﨑さんにご紹介いただけるということで、念願叶ってお会いできるとなった時には非常に緊張しましたが、実際に佐山さんと会ってお話をしたときに、ほんとにハートフルな方だと感じました。やはり一流の方は、下のものにもきっちり目線をあわせてお話いただけるので、一瞬でご一緒したいと思いました。
佐山 私のキュービーネットに対する印象は、とにかく明るく活力にあふれる会社ということですね。サービス業は、社員が明るくないと駄目です。キュービーネットには、フラットな職場の雰囲気があると感じたのです。これならば、きっとIPOできると思いました。
廣渡 インテグラルが投資をしてから、私どもAGSもIPOに向けてのお手伝いを加速していきました。その頃から印象に残っている言葉が、北野社長の「髪の毛は生える。不況でも生える」でした。(笑)
佐山 それは素晴らしい視点ですね。もしも、毛が生えなくなったら、その時はアデランスなどに委ねることになるでしょうが。(笑) 10分1000円というヘアカット事業は、単なるサービス業ではなくプラットフォーム型ビジネスになりますし、アジアだけではなく2014年からはアメリカへの出店も成功しています。
北野 2016年にはQB HOUSE USA INC.を設立し、2017年にはアメリカに第一号店となる「QB HOUSE MIDTOWN EAST店」をニューヨークにオープンし、世界で最も時間価値が高いであろうウォール街にも今年10月に3号店がオープンする予定です。国内外での年間ご来店お客様数が2000万人を突破するなどの実績が評価されて、おかげさまで2018年3月23日に、東証1部へ株式上場(IPO)を達成しました。
キュービーネット中興の祖と なった北野社長が描く未来ビジョン
廣渡 キュービーネットの海外展開について伺いたいのですが、これまで、シンガポール、香港、台湾など海外で118店舗(2018年6月現在)を展開してきましたが、ニューヨークでの展開のポイントはどのようになるのでしょうか。
北野 ニューヨークでは、カットの質と日本式おもてなしのサービスにこだわり、最初から10分という時間にはこだわりすぎず、とにかくサービスの質を大切にして、確実にローカルの方々の口コミを増やしていくことに集中する考えです。不評がたてば、一瞬で可能性が閉じられるのがニューヨークだと感じていますので。
廣渡 IPOを達成されて、社内には何か変化があったでしょうか。
北野 一部上場企業になったことで、真っ先に反応があったのはスタイリストの方々のご両親ですね。喜んでいただいているようです。おそらく、それまでは心配されていたのかもしれませんね。あと、新規のお客様が増えましたし、スタイリストの応募も格段に増えました。これからしっかりPR活動を行って、まだアプローチしていない現役美容学生にも認知度を高めて、スタイリストの新卒もどんどん採用していけるようになりたいですね。
廣渡 IPOをお手伝いしてきた当社から見ても、御社の管理部門の方々は能力が高くて、上場しても安心してみていられます。最後になりますが北野社長は、これからのキュービーネットとQBハウスをどのように育てていきたいとお考えでしょうか。
北野 国内でもまだまだ伸ばせる余地があります。業界としては、これから本格的な統合の局面に入ってくると考えていますので、その局面で我々が担える役割も広げていけると感じています。また、当社には定年がないので、最高齢では80歳のスタイリストがお店で働いています。年齢に関係なく、笑顔で安心して働ける環境を整え、まだまだ会社として成長していきたいですね。海外も、アジアのみならず欧米においても日本の技術は高い評価を得られる可能性を実感していますので、本気で世界の主要都市への展開を進めていきたいと考えています。私たちのビジネスは、お手軽で高品質なサービスを求めるお客様と、優れたカット技術を提供できるスタイリストを結びつけるプラットフォーム型ビジネスとして、さらに成長していきます。「国境のない、終わりのない」事業をさらに発展させることで、信頼して事業を任せていただいた方々の期待を越えていきたい、そう考えています。
北野 泰男 (きたの やすお)
キュービーネット株式会社 代表取締役
1969年生まれ。株式会社日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)入行。2005年キュービーネット株式会社に入社。2009年より現職。
松﨑 悟 (まつざき さとる)
オリックス株式会社 常務執行役
日債銀(現あおぞら銀行)系列のクラウン・リーシングを経て、1997年オリックス株式会社に入社。2018年より現職。
佐山 展生 (さやま のぶお)
インテグラル株式会社 代表取締役パートナー
1953年、京都府生まれ。72年洛星高校卒業、76年、京都大学工学部卒業。帝人、三井銀行(現三井住友銀行)を経て、98年、ユニゾン・キャピタル、2004年、GCA、07年インテグラルを共同設立。現在、スカイマーク株式会社代表取締役会長、一橋大学大学院国際企業戦略研究科客員教授、京都大学経営管理大学院客員教授などを兼務。
interviewer
廣渡 嘉秀 (ひろわたり よしひで)
株式会社AGSコンサルティング 代表取締役社長/公認会計士・税理士
1967年、福岡県生まれ。90年に早稲田大学商学部を卒業後、センチュリー監査法人(現 新日本監査法人)入所。国際部(ピートマーウィック)に所属し、主に上場会社や外資系企業の監査業務に携わる。 94年、公認会計士登録するとともにAGSコンサルティングに入社。2008年より社長就任。09年のAGS税理士法人設立に伴い同法人代表社員も兼務し、現在に至る。
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